松尾芭蕉句碑

更新日:2019年05月07日

芭蕉の新境地(わび)を開眼させた地 都留

 天和二(1682)年の江戸の大火事で家を焼きだされた松尾芭蕉は、翌天和三(1683)年に秋元家家臣・高山伝右衛門繁文(俳号麋塒)の招きにより、谷村(山梨県都留市)にしばらく滞在しました。 その後も谷村を訪れたいと弟子の手紙に記しており、芭蕉にとって谷村が特別な意味を持つところであったことがうかがえます。 自然と霊峰富士を間近に見る感動が芭蕉に大きな心境の変化を与え、その後の蕉風俳句に大きな影響を与えたと考えられます。
芭蕉ゆかりの地として、1994年から毎年5月には「都留市ふれあい全国俳句大会」を開催され、都留市内には芭蕉の句碑が建てられています。

句碑をめぐりながら、都留の歴史・文化・自然に触れてください。

1.東漸寺

東斬寺の句碑の写真

【師弟親愛の碑】
建立時期:昭和61年(1986年)
揮亳:岩間日勇

松風の 落ち葉か水の 音涼し
 夜の静寂を刻んで、かすかに音がするのは、風に散る松の落葉であろうか。ふと気付くと屋敷のそばを流れる水音の涼しげに響いてくる。
 芭蕉 蕉翁句集・貞享元年(1684年)

人は寝て 心ぞ夜を 秋の昏
 人はみな静寂たる晩秋の夜を夢中の人となるが、わたしの心は秋の淋しさがしみじみと感じられる。麋塒その人の感傷がにじみ出ている句です。
 麋塒 虚栗・天和3年(1683年)

2.円通院

円通院境内の句碑の写真

【六花庵句碑『芭蕉翁百年忌句碑』】
建立時期:寛政5年(1793年)
揮亳:嵐雪四世二代六花庵建立者と推察される

旅人と 我が名よばれん はつ時雨
 これから旅に出ると人から、私は「旅の人」と呼ばれる身の上になる。おりから初しぐれの降る季節で、その初しぐれに濡れながら旅をし、人々から旅人と呼ばれるのは自分の気持ちに相応しく、本懐のことだ。
 笈の小文・貞享4年(1687年)

場所

山梨県都留市中央三丁目5番1号

3.ぴゅあ富士

ぴゅあ富士前の句碑の写真

山賤の おとがい閉ずる むぐらかな
 あたり一面に雑草の葎がはびこっている甲斐山中で、下あご(おとがい)を閉じて無愛想な樵に逢ったさまを読んだ句です。
 続虚栗・貞享2年(1685年)

4.楽山公園

楽山公園の句碑の写真

【芭蕉来峡300年記念句碑】
建立時期:昭和58年(1983年)
揮亳:渡辺寒鴎

馬ぼくぼく 吾を絵に見る 夏野かな
 広い夏野を、自分を乗せた馬がぼくぼくと歩き続けている。暑い夏の旅だが、夏野を馬で行く旅人とは、畫題(ぐわだい)にでもなりそうなことだ。
 水の友・天和3年(1683年)

5.田原佐伯橋

田原佐伯橋の句碑の写真

【田原の滝句碑】
建立時期:昭和23年(1948年)
揮亳:山盧(飯田蛇笏:いいだだこつ)

勢ひあり 氷消えては 瀧津魚
 この句について「甲斐郡内谷村に白滝という滝あり。また田原の滝とも云うよし、此滝にての句なるよしと伝う。」と底本にある。
 田原の滝の氷柱も消え、富士の雪解けで増水した桂川の清流に躍る魚とともに春を喜ぶ心情を詠んだ句。
 谷村逗留中の嘱目吟・天和3年(1683年)

6.宝鏡寺参道

宝鏡寺参道の句碑の写真

【宝鏡寺句碑】
建立時期:文化13年(1816年)
揮亳:不詳

目にかかる 時やことさら 五月富士
 『蕉翁句集』には「五月三十日富士先ず目にかかる」と前書きがある。
五月晴れの旅の中で目にした富士の姿の素晴らしさを詠んだ句。
 芭蕉翁行状記・元禄7年(1694年)

7.城南公園

城南公園内の句碑の写真

【ふれあい俳句大会開催記念句碑】
建立時期:平成6年(1994年)
揮亳:天野建

行く駒の 麦に慰む やどりかな
 旅行く駒が、今日はこの宿のもてなしに穂麦をご馳走になり、うまそうに食べている。自分もこの宿のもてなしに心足りていることだ。
 野ざらし紀行・貞享2年(1685年)

8.つるの子公園

つるの子公園の句碑の写真

【つるの子公園句碑】
建立時期:平成20年(2008年)
揮亳:蓑虫庵小集

胡艸垣穂に胡瓜もむ屋かな (糜塒)
笠おもしろや卯の実むらさめ (一昌)
ちるほたる沓にさくらを拂ふらむ (芭蕉)

桃林軒で巻かれた連句の発句で、「芭蕉翁寓居再建委員会」が建立した句碑です。

糜塒が発育の悪い艸しか生えていない垣根あたりで、胡瓜をもんでいる鄙びた家ですと詠んだのに対し、一昌が「垣根草」と称される「卯の花」を連想して、卯の実がばらばらと落ちているのを村雨と見立てて笠で受けているとの雅趣を感じたと返しています。そして芭蕉が足元に舞う蛍を落花に見立てて、前句の「笠」で払うと応じた連句です。

9.桃林軒

桃林軒の句碑の写真

【桃林軒句碑】
建立時期:平成16年(2004年)
揮亳:芭蕉俳諧古巻

夏馬の遅行我を絵に看る心哉 (芭蕉)
変手ぬるく滝凋ム滝 (糜塒)

桃林軒で巻かれた連句の発句で、桃林軒再建を記念して「なれしか俳句会」が建立した句碑です。

夏の暑い日に馬に乗って行く自分の姿を画中の人と見ている句意です。この芭蕉の句に対して、糜塒が、この暑い夏の日に、かわるがわる凉をとろうとする滝も水量が減っていて、ぬるいと応じています。

【桃林軒句碑】

建立時期:平成24年(2012年)

深川の松も泣くらむ 雪の梅 (芭蕉)

谷村に降る雪を見て深川に残してきた弟子たちも私を偲んで泣いているだろうなと弟子たちを思って作った句を言われています。

10.月待ちの湯

月待ちの湯の句碑の写真

【月待ちの湯句碑】
建立時期:平成12年(2000年)
揮亳:宮沢正明

(注意)句碑は露天風呂敷地内に設置してあります。

名月の夜やさぞかしの宝池山 (芭蕉)

天和三年(1683年)谷村に流寓した芭蕉が、戸澤の宝池山正蓮寺を訪れた際に詠んだ句と伝えられています。「この宝池山の月はなかなかすばらしい。これが名月の晩だったら、さぞかし見事な眺めになるだろう」という句意です。

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