○都留市地下水保全条例
(平成30年3月26日条例第2号)
(目的)
第1条
この条例は、都留市環境基本条例(平成18年都留市条例第3号)の基本理念に基づき、富士山や本市を取り囲む豊かな山林からもたらされる地下水資源(温泉法(昭和23年法律第125号)の規定による温泉を含む。以下同じ。)を市民が将来にわたり享受できるよう、地下水資源の保護と採取の適正化を図り、もって市民の良好で快適な生活環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条
この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)
地下水 井戸により採取する全ての地下水資源をいう。
(2)
井戸 人力若しくは動力を用いて地下水を採取するための施設又は自噴井施設をいう。
(3)
井戸設置者 市内において井戸を設置している者で、第10条第1項の許可を受けたもの、同条第3項の届出をしたもの及び第16条第3項の規定による届出をしたものをいう。
(井戸設置者の責務)
第3条
井戸設置者は、当該井戸に関して地下水の採取の適正化及び水源の保全に努めるとともに、市が行う地下水の保全のための取組に積極的に協力しなければならない。
2
井戸設置者は、自噴井施設により地下水を採取する場合にあっては、地下水枯渇の一因が自噴井施設による大量摂取にあることを認識し、不使用時の流水防止策を積極的に進めなければならない。
3
井戸設置者は、災害時の飲料水、生活用水の確保等、市の施策に協力しなければならない。
4
井戸設置者から井戸を借り受け地下水を採取する者は、井戸設置者と同様の責務及び義務を負う。
(市の責務)
第4条
市は、第1条の目的を達成するため、必要に応じて地下水に関する必要な調査を行い、地下水保護のための施策を実施するとともに、自ら地下水を利用する場合には、率先してその適正化に努めなければならない。
(事業者の責務)
第5条
事業者(市内において事業を営む個人又は法人をいう。)は、第1条の目的を達成するため、市の行う施策に積極的に協力するとともに、水質の汚濁防止、効率的な水利用等に努めなければならない。
(市民の責務)
第6条
市民は、第1条の目的を達成するため、市の行う施策に積極的に協力するとともに、節水の励行等、地下水資源の保護に努めなければならない。
(規制区域の指定)
第7条
この条例において、地下水の採取を規制する区域(以下「規制区域」という。)及び特に厳しく規制する区域(以下「特別規制区域」という。)は、次表のとおりとする。
区分
該当区域
規制区域
都留市全域
特別規制区域
公共用水道水源から半径200メートル以内の区域
西桂町との市境から柄杓流川及び桂川で囲われた内側の区域全域
(地下水採取の制限等)
第8条
規制区域内において地下水を利用する場合には、採取量を最小限にとどめ、地下水の枯渇、汚染等を防止するよう努めなければならない。
2
市長は、地下水の異常渇水、地盤沈下、災害等の発生により、緊急の必要があると認めるときは、井戸設置者と協議し、期間を定めて地下水の採取の一時停止又は取水制限を命ずることができる。
(事前協議)
第9条
規制区域内において井戸を設置しようとする者は、あらかじめ、市長との協議を行わなければならない。
2
市町村境界付近に井戸を設置しようとする者は、必要に応じて関係自治体と協議を行うものとする。
(井戸設置許可の申請等)
第10条
規制区域内において井戸を設置しようとする者又は既設の井戸の構造の変更(揚水機の吐出口の断面積の口径若しくはストレーナーの位置を変更する場合又は揚水機の種類若しくは能力を変更する場合をいう。)をしようとする者は、工事に着手しようとする30日前までに、規則で定めるところにより、市長に申請してその許可を受けなければならない。
2
市長は、次条に規定する許可基準に適合していると認める場合でなければ、前項の許可をすることができない。
ただし、市長が公益上必要と認める場合は、この限りでない。
3
次に掲げる場合には、第1項の規定にかかわらず、同項の許可を要しない。
ただし、あらかじめ、市長に井戸の設置の届出をしなければならない。
(1)
国又は地方公共団体が公用若しくは公共用の目的で設置し、又は構造を変更するもののうち、市長が認める井戸
(2)
揚水機の吐出口の断面積(吐出口が2以上あるときは、その断面積の合計とする。)が6平方センチメートル未満の井戸
(3)
農業用の井戸
(4)
その他市長が認める井戸
(許可基準)
第11条
規制区域内における井戸の設置に係る許可基準は、次に定めるところによる。
(1)
県又は市が定める土地利用計画に反しないこと。
(2)
地下水の有効的な利用に支障がないこと。
(3)
既設の水道水源又は隣接する既設井戸に支障を及ぼすおそれがないこと。
(4)
他の水をもって変えることが困難なこと。
(5)
地下水を申請の用途に供することが、必要かつ適当と認められること。
(6)
採取した地下水を採取した場所で利用し、利用後不要になった地下水を採取場所で適切に排水処理すること。
(7)
量水器が設置されていること。
(8)
自噴井施設については、制水設備の設置等により不使用時の流出防止対策が講じられていること。
(9)
前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める事項
2
第7条に規定する特別規制区域内における井戸の設置に係る許可基準は、前項の基準に適合し、かつ次に掲げる基準に適合することとする。
(1)
地下水の採取量が日量20立方メートル未満であること。
(2)
特別規制区域内の井戸の設置数が1事業所につき1本であること。
(許可又は不許可の決定)
第12条
市長は、第10条第1項の規定による申請があったときは、30日以内に前条に定める許可基準により許可又は不許可を決定しなければならない。
ただし、特別の事情がある場合は、この限りでない。
2
市長は、前項の規定による決定をしたときは、文書をもってその旨を当該申請者に通知しなければならない。
3
市長は、第1項の規定による許可の決定を行うにあたり、必要な条件を付すことができる。
ただし、その条件は、その許可を受けた者に不当な義務を課すものであってはならない。
(工事の完了検査)
第13条
第10条第1項の許可を受けた者及び同条第3項の届出をした者は、規則で定めるところにより、工事着工の日から14日以内に市長に工事着工の届出をしなければならない。
2
前項の届出をした者は、当該工事が完了したときは、規則で定めるところにより、完了の日から14日以内に市長に工事完了の届出をし、その検査を受けなければならない。
(地下水の採取量等の報告)
第14条
第10条第1項の許可を受けた井戸設置者は、規則で定めるところにより、量水器を用いて当該井戸により採取した地下水の採取量を測定し、その結果を市長に報告しなければならない。
2
市長は、前項の報告により得た地下水の採取量等の情報を、地下水資源の保護と採取の適正化以外の目的に使用してはならない。
(氏名変更等の届出)
第15条
井戸設置者は、その氏名、名称、住所、主たる事務所の所在地若しくは法人にあってはその代表又は事業所の所在地又は井戸の用途の変更があった場合においては、規則で定めるところにより、その変更があった日から30日以内にその旨を市長に届け出なければならない。
(許可及び届出の承継)
第16条
井戸設置者から第10条第1項の許可を受けた井戸又は同条第3項の届出をした井戸を譲り受けた者は、当該井戸に係る井戸設置者の地位を承継する。
2
井戸設置者について、相続又は合併若しくは分割があったときは、相続人又は合併若しくは分割によりその地位を承継しようとする法人は、当該井戸設置者の地位を承継する。
3
前2項の規定により井戸設置者の地位を承継した者は、規則で定めるところにより、その承継のあった日から30日以内にその旨を市長に届け出なければならない。
(井戸の廃止)
第17条
井戸設置者は、設置した井戸を廃止したときは、規則で定めるところにより、井戸を廃止した日から30日以内にその旨を市長に届け出なければならない。この場合において、廃止する井戸は、汚染等により地下水の環境に影響を与えないように閉塞する等必要な措置をとらなければならない。
2
第10条第1項の許可を受けた井戸であって、前項の規定による届出をしたものについては、その許可の効力を失う。
(許可の取消し)
第18条
市長は、第10条第1項の許可を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可を取り消すことができる。
(1)
偽りその他不正な手段により許可を受けたとき。
(2)
許可の日から6月を経過しても工事に着手しないとき。
(3)
着工して1年を経過しても完成しないとき。
2
市長は、第10条第1項の許可を受けた井戸設置者又は同項の許可を受けた井戸を借り受け地下水を採取する者が、第11条の許可基準に違反したときは、その許可を取り消すことができる。
(調査)
第19条
市長は、必要があると認めるときは、官公署に対し、この条例の施行に必要な限度において、文書の閲覧又は資料の提供を求めることができる。
2
市長は、この条例の施行に必要な限度において、井戸設置者から井戸に関する資料を提出させ、又は職員若しくは市長が委任した者(次項において「職員等」という。)に、井戸が設置された土地に立ち入って調査をさせることができる。
3
前項の調査に従事する職員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときには、これを提示しなければならない。
4
第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
(助言又は指導)
第20条
市長は、規制区域内において地下水の枯渇が著しく、公共用の水道水源、個人の井戸等に影響があると認められるとき又は地下水の保全上必要があると認められるときは、井戸設置者に対して、必要な助言又は指導をすることができる。
(勧告)
第21条
市長は、井戸設置者が前条の助言又は指導に対して必要な措置をとらなかったときは、相当の期間を定め、取水制限その他地下水の保全上必要な措置をとるよう勧告をすることができる。
(命令)
第22条
市長は、前条の勧告を受けた者が、正当な理由がなくその勧告に係る措置をとらなかったときは、その者に対し期限を定めて当該措置をとるよう命ずることができる。
2
市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、直ちにその行為を中止させ、地下水採取行為の一時停止、原状に復旧させる等必要な措置をとるよう命ずることができる。
(1)
第10条第1項の許可を受けずに井戸を設置している者
(2)
第10条第1項の許可を受けていない井戸から地下水を採取している者
(3)
第12条第3項の規定により付した条件に違反した者
(措置の届出)
第23条
第21条の勧告又は前条に規定する命令を受けた者が、当該勧告又は命令に基づく措置をとったときは、その措置を講じた日から起算して14日以内に市長に届出をし、その検査を受けなければならない。
(公表)
第24条
市長は、次の各号のいずれかに該当する者があるときは、その者の氏名等を公表することができる。
(1)
正当な理由がなく第19条第2項の資料の提出を拒み、又は同項の調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
(2)
第22条の規定による命令を受けた者であって、正当な理由がなく当該命令に従わないもの
2
市長は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめその者に対し公表しようとする事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
(環境審議会への諮問)
第25条
市長は、必要に応じ、地下水の保全等に関する事項を調査審議するため、都留市環境審議会に諮問し、意見を聴くことができる。
(委任)
第26条
この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(過料)
第27条
次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の過料に処する。
(1)
偽りその他不正な手段により許可を受けた者
(2)
第22条の規定による命令を受けた者であって、正当な理由がなく当該命令に従わないもの
2
正当な理由がなく第19条第2項の資料の提出を拒み、又は同項の調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、3万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
1
この条例は、平成30年10月1日から施行する。
(経過措置)
2
この条例の施行の際に、現に井戸を設置している者は、この条例の施行の日から起算して1年以内に、規則で定めるところにより、届出(第10条第3項各号に掲げる井戸にあっては、同項の届出とみなす。)をしなければならない。
3
前項の届出をした井戸(第10条第3項各号に掲げる井戸を除く。以下同じ。)のうち、第11条の許可基準を満たす井戸にあっては、第10条第1項の許可を受けたものとみなす。
4
附則第2項の届出をした井戸のうち、第11条第1項で規定する規制区域の許可基準を満たさない井戸にあっては、市長と地下水保全並びに災害時の飲料水及び生活用水の確保に関する協定の締結をもって、第10条第1項の許可を受けたものとみなす。
5
附則第2項の届出をした井戸のうち、第11条第2項で規定する特別規制区域の許可基準を満たさない井戸にあっては、次に掲げる同意又は協定の締結をもって、第10条第1項の許可を受けたものとみなす。
(1)
公共用水道水源から半径200メートル以内の区域 水源を管理する者の同意
(2)
西桂町との市境から柄杓流川及び桂川で囲われた内側の区域全域 市長と地下水保全並びに災害時の飲料水及び生活用水の確保に関する協定の締結
6
前2項の許可を受けたとみなす井戸のうち、量水器を設置していない井戸にあっては、この条例の施行後3年以内に量水器を設置しなければならない。
7
前項の規定により量水器の設置を完了しなかった井戸については、この条例の施行後3年を経過した日からは、附則第4項及び第5項の規定は適用しない。
8
市長は、前項の規定により附則第4項又は第5項の規定を適用しないこととなった井戸の設置者に対し、量水器を設置し、又は地下水採取行為の一時停止若しくは原状に復旧させる等必要な措置をとるよう命ずることができる。
9
市長は、正当な理由がなく前項の規定による命令に従わない者があるときは、その者の氏名等を公表することができる。
(過料)
10
正当な理由がなく附則第8項の規定による命令に従わない者は、5万円以下の過料に処する。